仙台の工芸品

仙台の歴史ある民芸品や工芸品をご紹介します。

【仙台の工芸品】仙台箪笥

ケヤキの木目を生かした木地呂塗りと力強い打ち出し・掘り出し模様の鉄金具が見事な箪笥が原形。太刀、衣類を納め、金庫にもなったと言われています。大型の衣装箪笥はかなり高価ですが、小型ながらも重厚な趣の手元箪笥も作られており、伝統工芸の良さが部屋に光る、まさに一生ものの箪笥です。今もなお数名の工人たちによってその伝統は守り抜かれており、その堅牢で優雅なコントラストが魅力です。

嫁入り道具には欠かせない堅牢な箪笥

江戸時代、仙台藩の宮大工によって作られたもので、300数十年の伝統を今に伝えます。明治初期に岩手県江刺市から金具師・菊地松右エ門が移住し、販路を広め、当時嫁入り箪笥として人気でした。

【仙台の工芸品】仙台平

厚地で目の詰んだ手絹織りで精好織りの一種であるところから、精好平とも言われています。緻密で塩瀬や琥珀に似ているその布地は、しわになりにくく耐久性に富み、袴地の最高級品として全国に名を馳せています。経糸の中の縞部分だけ太目の練糸を使い、その他の経糸、緯糸は生糸のまま染色して湿らせ、引き揃えて織ったもの。最近ではネクタイや財布、煙草入れなど、気軽に仙台平の良さを実感できる品々も多くあります。

京都にも劣らない織りの技術

江戸時代中期以降、袴地を珍重した江戸や上方の人たちが言い出した名称で、創始者は小松弥右衛門。1711年5代藩主伊達吉村が郷土産業の振興として織らせ、弥右衛門は地合、技術ともに京に劣らないものを織り数回の褒賞を受けています。

【仙台の工芸品】仙台堆朱

東華堆朱とも言われる堆漆。漆の混合物による練り物で、木彫りの堆朱型により凹板型を作り、圧搾した素地を作ります。できあがった凸版の表面に朱色の漆を100回ほど塗り重ね、その上から山水や花鳥、人物などを浮き彫りにして完成。昔はお盆や印籠などがメインでしたが、現在では格調高い小物入れや硯箱、煙草盆など様々な製品が作られています。高級感があり、しかも実用性に富む伝統工芸品として古くから親しまれています。

新潟から仙台にやってきた漆の技術

1716年~1736年に創作された新潟の村上木彫堆朱が原形。たまたま村上での工人・川崎康弘が仙台に移住し、職人・小林某とともに1916年頃に開発されました。

【仙台の工芸品】仙台張子

自然のままの趣と豊かな色彩、素朴な形が優しい温もりを伝える仙台張子。型抜きして描彩を施した紙製の玩具で、主流は松川だるま。顔の回りを紺青に塗り、浮き出しになった胴には派手な色彩で宝舟や梅の花、福の神などが描かれています。眉に本毛を使うのが特徴で、縁起ものとして古くから親しまれています。他に各種お面、虎、俵牛、馬などの張子玩具も愛らしい表情で人気です。

大正時代に復活した張り子玩具

藩政時代から下級武士の手内職として作られていましたが明治以後一部を除いて廃絶。しかし1921年に本郷徳治が数10年振りに復活させ、現在に至っています。

【仙台の工芸品】萩筆(仙台御筆)

伊達政宗公仙台開府以来、学問と勧業の両面からの施策によってできた筆。宮城県の県花である宮城野の萩を筆軸にした、野趣と優雅な味わいを醸し出す仙台御筆のひとつです。常時製筆工の養成につとめ、また微禄の藩士の内職となるにつれて、次第に技巧も精密さを増し、「仙台毛筆」の名を京にまで響かせたと言われています。

戦後復活した仙台ゆかりの筆

政宗公は1614年に摂州大阪の筆師・小村又兵衛を御用筆師として仙台に招きました。以来明治初期頃、13世長三郎まで続いた仙台御筆も戦後で一時休業。しかし藩政時代から伝わる筆師・大友長五郎が宮城野の萩を軸とした「萩筆」を復活させ、現在に至っています。

【仙台の工芸品】埋木(うもれぎ)細工

埋もれ木とは太古、地上に大繁茂していた植物が地中に埋没し、樹種炭化作用をうけたもので、全国に類のない特異な工芸資材。昔は青葉山や八木山一帯で多く産出されました。黒褐色のこの材料は、美しい木目と拭漆を施したゆかしい光沢によって、品位を高めた製品に加工されます。他のどんな木製品にも見られない適度な重量感を持つ工芸品として、ブローチや銘々皿などの製品が人気です。

始まりは仙台藩の下級武士から

埋もれ木に細工をされるようになったのは1822年。仙台藩の下級武士山下周吉が青葉山で埋もれ木を見つけ持ち帰り、工夫をしているうちに「掻敷」を作ったのが始まりといわれています。いつの日にか足軽たちの内職になっていきました。

【仙台の工芸品】堤人形・堤焼

仙台北郊の堤町から東側の杉山台(現在の台原)に産する陶土を使ったことから生まれた堤焼き。開窯は1694年、代々この業に従事していた針生家は、仙台藩の御用窯を務めていました。堤焼きは、乾山風の伝統を受け継ぐ仙台古来の焼き物で、別名「杉山焼き」とも呼ばれていました。雅趣豊かな花瓶などがあります。
また堤人形は堤焼きを母体に誕生したと言われる、土製着色の郷土人形で、京都の伏見人形と相対する最高峰と言われています。顔料をふんだんに使った鮮やかな彩りが特徴で、最近では古い伝統の中にも新感覚を取り入れたひな人形や能面など、素朴な風姿で名声を博しています。

【仙台の工芸品】こけし

全国的に愛される郷土玩具のこけしは、その地方や工人の個性によってそれぞれの特徴が生きていますが、仙台では作並系のこけしが主流。作並系は子供が握れるよう全体的にほっそりしたシルエットで作られています。倒れにくくするために台座を敷いた「台付きこけし」は作並特有のスタイルとして知られています。まなざしは優しく可憐で、柄は単純な菊の花が主流です。

参考リンク
せんだい旅日和-仙台観光情報サイト-